覆水盆にカレーライス

カレーは中辛 布団は羽毛

【読書】個人的暫定No.1ミステリ【medium 霊媒探偵城塚】

7月7日に相沢沙呼霊媒探偵城塚翡翠シリーズの新刊『invert』が発売されたのでそのシリーズ1作目である『medium』を読み返した。私がこの作品を最初に読んだときは宝島社のこのミステリーがすごい、原書房本格ミステリ・ベスト10、Apple Booksのベストブックのトリプル1位という触れ込みで売られていた。しかし今回読むときには更に第20回本格ミステリ大賞受賞、SRの会ミステリベスト10一位と5冠を達成していた。始めて読んだときの衝撃度は私の中でも今までで一番だった。まあ私の読書量などたかが知れているし、超有名なミステリでも読んでないものもたくさんあるのだが。

 

講談社のサイトではあらすじがこのようになっている。

 

推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。彼女は霊媒として死者の言葉を伝えることができる。しかしそこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かう。一方、巷では連続殺人鬼が人々を脅かしていた。証拠を残さない殺人鬼を追い詰められるのは、翡翠の力のみ。だが殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫っていた――。

 

証拠が見つからず犯人が誰か分からないような事件があっても翡翠には霊の声を聞くことで犯人が簡単に分かってしまうのだが、そんなものは証拠にはならず誰にも信じてもらえない。そこで霊視の内容と現場の状況を論理によって繋ぐことで犯人逮捕に至る、というような内容になっている。全四話で構成されていてどの話もおもしろいのだが最終話では衝撃を受けてしまった。是非一度読んでもらいたい。

 

 

※以下ネタバレあり感想

 

 

 

完全にやられてしまった。読んでいて未解決の連続殺人事件の犯人は香月だなと思った人は多いのではないだろうか。実際に最終話ではそれが明かされ、見抜いてやったぞシメシメという思いで読んでいたが完全に手のひらの上で踊らされていた。さらに翡翠のこのセリフ

 

わかりやすい謎を提示し、あえて読者に解かせ、それを解決しないまま物語を進めて、まったく違う答えや隠されていた最大の謎を示すのです

 

完全に手のひらの上で踊らされていた。霊視が嘘だなんて全く考えていなかったし、なら今まで霊視で解決してきた事件はどういうことなんだと作中の香月と同じ思いを抱くことになった。 そして種明かし。凄すぎる、よくもまあこんなことを思いつくなと脱帽である。霊視ありの解決と霊視なしの解決を両立させているのは半端ない。スゴイものを読んだなと満足して読み終えたが、後から冷静になって思った。

 

分かるわけがねぇ

 

つまり翡翠は事件現場をひと目見ただけで真相を全て推理し、さらにでっちあげの霊視まで一瞬で考えているわけである。超人すぎる。それにそれはそう言い切れるか?、それはこじつけなのでは?と思ってしまう部分も正直ある。しかしあくまで後から冷静になって考えたらという話で、最初に読んだときにはそんなこと思わなかったしひたすら衝撃を受けながら読んだ。記憶を消してもう一度読みたいと思わせる作品だった。

 

読書感想、紹介、なかなか思うように書けない。作家に限らず物語を考える人っどんな頭をしているのだろう。そしてそれを文章にする能力。私もこの日記を#1000くらいまで書けば少しはまともな文章を書けるようになっているのだろうか。

 

 

#106